2013.6.22 時局講演会 金子辰男講演録
今晩は、金子辰男でございます。 皆様方には常日頃大変お世話になっております。改めまして心からお礼を申し上げます。 また本日は、昼間大変お疲れの中を、わざわざ足を運んでいただき誠にありがとうございます。大変有難く、重ねてお礼を申し上げます。 さて、早いもので、三豊市も合併以来、8年目を迎えております。 財源が減少する中、必要な予算が確保できなくなる、大きな事業に取り組めなくなる、などの問題点が叫ばれつつ、平成18年1月1日、7町の対等合併が行われたことを思い出します。 今のところ、その合併効果により、国から地方交付税を特別にもらっているので、財政的には良好な状態となっておりますが、平成28年度からは、その特例措置も解消され、次第に窮屈な財政状態になることが心配されています。
これからの三豊市づくりには、幾つかのキーワードがあります。 国からの交付税措置が縮小されることもその一つです。今までもらえていたお金が、もらえなくなるということです。 そうなると、限られた財源で三豊市の運営を行わなければなりません。そのためには、無駄な予算を極力削減し、必要な部分に重点的に予算を投入するなど、メリハリのある財政運用意が必要となって来ます。 今までのように、あの事業に補助金がもらえたので、この事業ももらう、あの地区ではもらっているので、うちももらうというような、予算の均等配分のようなことはできなくなります。本当に必要なものにしか予算がつかないということが現実になります。
人口も減少します。将来予測では、三豊市の人口は、平成30年度には6万2千人台になることが予測されています。人口構造もお年寄りが増えて子どもたちが減少します。いわゆる少子高齢化が今よりももっと進むということです。 私自身も含めてですが、お年寄りが増えれば医療費が増加したり、介護・福祉関係の予算が必要です。子どもが減少すれば、地域に活気がなくなります。 地域づくりの設計書、つまりまちづくり計画は、基本的には、いくらお金が調達できるかということと、人口がどれだけで、どのような人口構造化によって大筋は決まってきます。 三豊市は、限られた予算の中で、超高齢化時代、少子化時代を踏まえたまちづくりをせざるを得ない状況です。なかなかバラ色の計画は描けないのが現実です。給与所得者も、年齢とともに月給が上がり続ける時代ではありません。 また、年金が楽しみな時代でもありません。 負担できる人には生涯、負担をしていただく時代が来ています。 退職金に手を付けずに貯蓄できる時代でもなくなってきています。
病気をしたりすると、もっと経費はかかります。特別養護老人ホームに入るにも、毎月、相当の費用が必要です。 場合によれば、子どもたちがその費用を負担しなければなりません。「ピンピンコロリ」の意味が現実味を持ってきます。
そして、また、株がどんどん上がる時代でもありません。 アベノミクスということで、景気回復、デフレ解消に大きな期待が寄せられていますが、現実には、大手の企業であっても、世界的な競争に負ければ倒産したり、大幅に株価が下落したりします。 一般の投資家が、大きな利益を手にするようなことは難しくなっています。
また、貯金しておけば金利が貯まる時代でもありません。超低金利時代であります。1年して貯金の額を見ても、ほとんど金利はついていません。元本でさえ保障されるのは1千万円までです。
少子化も深刻な問題です。 子どもがおりません。家庭も地域も一緒です。 つまり、後を継ぐ者がおらんのです。
学校の運動会やクラブ活動、地域の祭りなどの行事も深刻です。 地域の秋祭りなどでは獅子舞やちょうさが出ますが、子どもたちの役割は大きいものがあります。獅子舞の子役も、私たちの子ども時代はやりたくてもなかなかやれなかった、今はもう全員が何度も出なければいけなくなっています。
では、どうすれば解決できるのかということになりますが、なかなか難しいのが現実です。 地域の活性化のためには、企業誘致が必要といいますが、もう昔のように、工業団地をつくれば売れる時代ではありません。 神田地区は、神田中央工業団地もありますし、テーブルマークの工場もあります。しかし今は、どんどん企業が進出して来るような経済状況ではありません。
だけど、働く場はぜひ必要であります。共稼ぎは珍しいことではありませんし、若い人たちはそういう認識を持っています。
でも、働く場=会社勤めだけではないと思います。 今まで、いろいろと問題提起させていただきましたが、私は、地域の発展のためには、農業振興が絶対に必要だと思っています。 農業も地場産業の一つです。若い人たちが農業に就職してもいいんです。いや、是非そうなってほしいと思っています。
しかし、今の農業、事態は深刻です。 田んぼを守るだけの農業に追い込まれています。 現実には、田んぼを収入源にできないんです。 今、ほとんどの田んぼは田植えが行われています。 秋が来れば、一斉に稲刈りが行われます。 私たちの若い頃は、農業で食べて行けたんです。 しかし、今は、昔とは違うということです。 このままで農業は大丈夫でしょうか。
TPPの影響も心配です。 若い人たちが、自信を持って農業を行い、それで子どもたちを大きくできるようにすることが必要です。 しかし、この辺りの地形では、大面積の経営は無理です。 水は池から引かなければなりません。 あぜ草を刈ることも大変です。 農地の管理ばかりで、農業に時間をかけることができません。 どのような経営体が中心となって地域農業を引っ張っていくのか。 若い就農者をどのように地域に定着させていくのか。 私は、農業者に一番近い立場の市が、具体的な対策を示す必要があると思っています。 就農時のサポート、営農のサポート、設備投資のサポート、販売のサポートなど、現実的なサポートが必要です。 女性の参画も必要です。従来から、力仕事は男と言われてきました。農業などは最もその傾向が強い職業です。 しかし、販売などに関しては女性の感性が必要です。買い物に行っているのは女性が圧倒的に多いわけですから、どんなものなら売れるとか、どうすれば売れるかなどは女性の方がよく知っているはずです それが、女性が単に手伝いのような役目をしていたのでは、合理的な農業はできません。もっと前に出てもらいたいと思っています。 農家が作って農家が売り込む、それを行政もサポートする、そんな頼れる産業としての農業が必要です。 従来から作っていた作物を、消費者に直接販売するルート開拓や、傷物でも加工することにより値段が高く売れる仕組みづくりも必要です。
6次産業化と言われる農業です。 私は、まず、農業の活性化に取り組みます。これしかやらないということではありません。まず、ここから始めれば、家庭や地域の様々な課題解決につながると思います。 お年寄りのことも、子どもたちのことも、若者のことも、女性のことも、全部を一律的に取り組んでいたのでは、なかなか解決できません。 まず、キーワードの農業を掲げ、ここから取り組めば、家庭、地域へと対策は広がります。 その延長線上に、企業誘致も地場産業の育成も見えてきます。 農業は、これ以上ほっとけないんです。 それならば、ほっとけないことから始めなければなりません。 芸術や文化も大切ですが、一番肝心なところをなんとかしなければなりません。5年、10年後の三豊市、皆さん方の家庭、自分たちはどうなるのかと考えてみて下さい。 私たちは今、何をしなければならないのか。
行政に、何もかも全部を求めても、何もできないと思います。 自分たちが自ら、考え、行動を起こすことが大切です。 でも、失敗することを恐れたら何もできません。 その失敗を失敗で終わらせないサポートが必要です。そのサポートに行政を、私を利用してください。
再度申し上げます。 一点を突破していく考え方が必要です。 地域の活性化は農業の活性化から始めることができます。 地域の人たちと市が力を合わせれば、何かが動き出します。
農業の6次化による裾野の広がりにチャレンジできます。 直販による収益確保、現金収入確保もできます。 主婦の皆さんの働き場所もできます。 お年寄りの働き場所もできます。 若者も将来に夢や希望が持てます。 子どもたちも、みんなが働く姿を見ながら成長できます。 三豊市においても、農業の振興は重要事項と位置づけ、様々なチャレンジを支援するために、3億円の農業振興基金もつくりました。包括支援センターも整備しました。 私は、神田地区が今よりも良くなるためには、農業に何か明かりが見える、つまり、儲かる農業を実践することから始める必要があると考えています。
私は全力で取り組みます。 少子高齢社会だからこそ、豊かな町づくりの発想が問われます。地域の生活力を上げ、市民は生き甲斐を感じ、子どもたちに未来を語れる住みよい町づくりのために頑張ります。 今よりも良くなる方向に働くことをお約束いたします。
議会の中でも、市長にも、市の職員にも、必要なことは言います。 有言実行の精神で取り組みます。
皆さん方から、声を聞けば、必ず動きます。 全部が実現するかどうかはわかりませんが、その結果も報告いたします。 一緒になって、この神田地区が先進地区となるようがんばりましょう。
最後に、本日は、大変お疲れの中、わざわざ参集いただき、私の声に耳を傾けていただき、本当にありがとうございました。 今後とも、皆さん方の立場になり、まじめに、正直に行動いたします。皆様方のご支援を心からお願いを申し上げます。 ご清聴ありがとうございました。